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解雇無効トラブルを防ぐために企業が取るべき対策

解雇無効トラブルを防ぐために企業が取るべき対策

従業員の解雇は、企業経営において避けられないことがあります。

しかし、不適切な解雇は従業員との間で深刻なトラブルに発展し、最悪の場合、解雇が無効と判断されることもあります。

解雇無効となれば、企業は金銭的な負担を強いられるだけでなく、社会的信用を失墜させる可能性もあります。

そこで、今回は、解雇無効トラブルを未然に防ぐために企業が取るべき対策について解説します。

解雇無効とは?違法と判断されるケースを解説

解雇無効とは?違法判断されるケースを解説

解雇無効とは、企業が行った解雇が法律上の要件を満たしておらず、法的にその効力が認められない状態を指します。

解雇が無効となると、従業員は依然としてその企業の従業員としての地位を有することになり、企業は遡って賃金を支払う義務などを負う可能性があります。

不当解雇と解雇無効の違い

不当解雇と解雇無効は、どちらも企業による解雇が適切でないことを指すものですが、その具体的な意味には違いがあります。

不当解雇は、解雇理由が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合を指します。

例えば、単なる好き嫌いや個人的な感情による解雇などがこれに当たります。

これに対し、解雇無効は、解雇の手続きに重大な瑕疵がある場合や、法律で禁止されている理由による解雇である場合に該当します。

解雇無効の場合、解雇そのものが初めからなかったものとして扱われます。

どんな場合に解雇無効と判断されるのか?

解雇が無効と判断される主なケースは以下の通りです。

解雇理由がない場合や客観的に合理的な理由を欠く場合

例えば、業績不振を理由とする解雇であっても、その程度が著しく軽微である場合や、改善の機会が十分に与えられていない場合などが該当します。

法律で禁止されている理由による場合

労働組合法に基づく正当な組合活動を理由とする解雇(不当労働行為)や、労働基準法に違反する性別、国籍、信条などを理由とする解雇などが該当します。

また、産前産後休業や育児休業を取得したこと、または請求したことを理由とする解雇も原則として無効となります。

解雇の手続きに重大な瑕疵がある場合

就業規則に解雇の手続きが定められているにもかかわらず、その手続きを全く行わずに解雇した場合などが該当します。

例えば、懲戒解雇の場合に必要な弁明の機会を与えなかった場合などが挙げられます。

期間の定めのある労働契約において、やむを得ない事由がないのに契約期間満了前に解雇した場合

期間雇用者の場合、原則として契約期間満了までは解雇できません。

【参考】問題社員に退職した頂くためには?企業が知っておくべきリスクと対処法を弁護士が解説

解雇無効と判断された場合の企業リスク

解雇無効の訴訟リスクと企業への影響

解雇が無効と判断された場合、企業は様々なリスクを負うことになります。

解雇無効の訴訟リスクと企業への影響

従業員が解雇の無効を主張して訴訟を提起した場合、企業は訴訟対応に時間と費用を費やすことになります。

訴訟が長期化すれば、企業イメージの低下がもたらされる可能性があります。

そして、裁判所が解雇無効の判決を下した場合、企業は以下のような影響を受ける可能性があります。

  • 従業員の職場復帰
  • 解雇期間中の賃金の支払い
  • 慰謝料の支払い
  • 社会的信用の失墜
  • 他の従業員のモチベーション低下

【参考】事例で分かる!問題社員対応のマニュアルと対応時の注意点

解雇無効を防ぐために企業が行うべき対策

解雇無効を防ぐために企業が行うべき対策

解雇無効トラブルを未然に防ぐためには、企業は日頃から適切な労務管理を行い、解雇を行う際には慎重な対応が求められます。

以下では、企業が行うべき対策について解説します。

解雇の際に必ず守るべき法的手続き

解雇を行う際には、労働基準法をはじめとする関連法規を遵守することが不可欠です。

特に重要な手続きとして以下のものが挙げられます。

解雇予告

労働者を解雇する場合、原則として30日以上前に予告するか、30日分以上の賃金を支払う必要があります。

解雇理由の明示

従業員から解雇理由証明書の交付を請求された場合、企業は速やかに解雇理由を具体的に明示しなければなりません。

曖昧な理由や後付けの理由はトラブルの原因となるので、気をつける必要があります。

就業規則に基づく手続き

就業規則に解雇の事由や手続きが定められている場合は、それに従って解雇を進める必要があります。

手続きを怠った場合、解雇が無効となる可能性があります。

適切な就業規則の整備

就業規則は、労働条件や服務規律などを定める重要な規則であり、解雇に関する事項も明確に定めておく必要があります。

具体的には、以下のものが挙げられます。

  • 解雇事由の明確化
  • 解雇手続きの詳細な規定
  • 試用期間に関する規定
  • 解雇以外の選択肢(降格、配置転換、教育訓練など)

【参考】解雇に該当する条件とは?適切な手続きとリスクを抑える企業対応のポイント

過去の裁判例に学ぶ解雇無効トラブルのポイント

弁護士が人差し指を顔の横で立てている様子

過去の裁判例は、どのような場合に解雇が無効と判断されるのか、その判断基準を示す重要な指針となります。

裁判例に見る「解雇無効」の判断基準

裁判例では、解雇の有効性について、以下の点が総合的に判断される傾向にあります。

解雇理由の客観的合理性と相当性

企業が主張する解雇理由が、客観的に見て合理的であり、社会通念上相当であると認められるかどうかが厳しく審査されます。

単なる主観的な判断や、軽微なミスを理由とする解雇は無効と判断される可能性が高いです。

解雇回避努力の有無

企業が、解雇以外の手段(配置転換、降格、教育訓練など)を十分に検討したかどうかが考慮されます。

特に、整理解雇の場合には、解雇の必要性、解雇対象者の選定の合理性、解雇手続きの妥当性などが厳しく判断されます。

手続きの適正性

就業規則に定められた解雇手続きを遵守しているか、労働者に十分な説明や弁明の機会を与えているかなどが重視されます。

労働者の状況

労働者の勤続年数、年齢、他の職への就職の可能性なども、解雇の有効性を判断する上で考慮されることがあります。

例えば、業績不良を理由とする解雇の場合、裁判所は、単に業績が目標に達していないというだけでなく、企業が具体的な改善指導を行い、それでも改善が見られないといった経緯を重視する傾向があります。

また、配置転換によって能力を発揮できる可能性があったにもかかわらず、解雇を選択した場合には、解雇回避努力が不十分と判断されることがあります。

【参考】能力不足を理由に解雇できる?企業が解雇を検討する際に確認すべきポイントを解説

解雇トラブルを防ぐための弁護士の活用方法

男性社員が弁護士に相談している様子

解雇は、法的な知識や慎重な判断が求められる行為です。解雇トラブルを未然に防ぐためには、専門家である弁護士のサポートを得ることが非常に有効です。

事前相談の重要性とリスクヘッジ

解雇を検討する段階で、事前に弁護士に相談すると、以下のようなメリットがあります。

法的リスクの評価

解雇理由や手続きが法的に問題ないか、解雇無効となるリスクはないかを専門的な視点から評価してもらうことができます。

適切な手続きのアドバイス

個別の状況に応じて、どのような手続きを踏むべきか、どのような点に注意すべきか弁護士から具体的にアドバイスを受けることができます。

例えば以下のようなものが挙げられます。

就業規則の確認・修正

現在の就業規則が解雇に関する事項を適切に定めているかを確認してもらい、必要に応じて修正の提案を受けることができます。

従業員との交渉サポート

解雇に関する従業員との交渉を弁護士に依頼することで、感情的な対立を避け、円満な解決を目指すことができます。

訴訟リスクへの備え

万が一、訴訟に発展した場合の対応について、事前に具体的な対応策などについて助言を受けることができます。

【参考】顧問弁護士とは?顧問弁護士との契約内容の基礎知識と活用のメリット

解雇無効トラブルの対応は山本総合法律事務所へ

弁護士一同

解雇に関する問題は、企業にとって複雑で専門的な知識が求められる分野です。

当事務所では、企業の労務問題に精通した弁護士が、解雇の有効性に関する判断、適切な手続きの助言、従業員との交渉、訴訟対応など、解雇に関するあらゆるご相談に対応いたします。

解雇を検討されている企業様、または解雇トラブルにお悩みの企業様は、ぜひ一度、弁護士法人山本総合法律事務所にご相談ください。

状況を丁寧にお伺いし、最適な解決策をご提案いたします。

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この記事を書いた人

山本 哲也

山本 哲也

弁護士法人 山本総合法律事務所の代表弁護士。群馬県高崎市出身。
早稲田大学法学部卒業後、一般企業に就職するも法曹界を目指すため脱サラして弁護士に。
「地元の総合病院としての法律事務所」を目指し、個人向けのリーガルサービスだけでなく県内の企業の利益最大化に向けたリーガルサポートの提供を行っている。

山本 哲也

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