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目次
債権回収に関する基礎知識
債権回収とは
債権回収とは、未払の売掛金や未返済の貸付金といった債権を回収する(任意で債務者から支払を受けるor法的手続(強制執行)により強制的に徴収する)ことです。
契約どおりに支払うよう督促したり、債務者が任意で弁済する見込み無い場合は強制執行をかけることが典型例です。
強制執行にはコストがかかりますので、それを避け任意での弁済による回収を図るため分割弁済により債務者の負担を軽減するような交渉を持ちかけることもあります。
また、強制執行の中にも不動産執行、動産執行、債権執行などパターンがあります。
このように、債権回収の種類・手法には様々パターンがありますが、今回は、その中でも法的手続である強制執行についてご紹介します。
債権回収を行う際の対応策
債権回収を行うにあたっては、平時からの準備が何よりも大切です。
契約書をきちんと締結しておく、担保をとっておく、債務者の資産状況や取引等の情報を収集しておくといったことが考えられます。
平時から準備しておけば、いざというときに債権回収の選択肢に幅が広がり、回収可能性を高められます。
強制執行を行う際は、債務者のどの資産をターゲットに強制執行をかけるのか、いつ強制執行をかけるのが効果的なのかを調査・検討する必要があります。
担保をとっているのであれば担保から回収する、取引先等の情報を得ているのであれば代金が入金されたタイミングで銀行口座を差し押さえるといったように、実効性の高い手法で強制執行を行う必要があります。
やみくもに強制執行をかけても、何ら資産が無く空振りに終わってしまうおそれがあります。
【参考】「取引先が倒産した場合の債権回収|回収可否と対応のポイントを弁護士が解説」
強制執行に関する抑えるべきポイント
強制執行とは
裁判で判決を得たり和解が成立したりすると、その内容が記載された判決書や和解調書が作成されます。
このように、何らかの支払や義務の履行を定めた公的な書類が「債務名義」です。
この債務名義を基に、その内容となっている支払や義務の履行を裁判所の関与のもと強制的に行わせる手続きが強制執行です。
強制執行ができるケース
「債務名義」を取得していれば、強制執行ができます。
逆にいえば、これが無ければ強制執行はできません。確定した判決書、和解調書、調停調書、強制執行認諾文言付きの公正証書等が債務名義の典型例です。
契約書や借用書のように当事者のみで作成した書類は債務名義とはなりません。裁判所や公証役場といった公的機関が作成又は関与した書類が債務名義となります。
債務名義によっては、別途で書類(送達証明や執行文)を取得しておく必要がある場合もあります。
強制執行ができないケース
債務名義を取得していない場合、強制執行はできません。まずは訴訟等により債務名義を取得することになります。
また、強制執行(差押え)ができない財産も存在します。例えば、公的年金はその全額が差押禁止です。
債務者が公的年金を受給していたとしても、それをターゲットに強制執行はできませんから他の資産を調査しなければなりません。
給与等も、その4分の3が差押禁止です(被保全債権が婚姻費用や養育費の場合は2分の1)。
これらが差し押さえられると債務者の生活が成り立たなくなってしまうので、差押が禁止されています。
同様の観点で、衣服や家具といった日常生活に欠かせない資産についても差押が禁止されています。
強制執行の種類
債権回収の場面での強制執行には大きく3種類があります。
債務者が所有する土地・建物を差し押さえて競売にかける不動産執行、在庫や備品を差し押さえる動産執行、売掛金や預金債権を差し押さえる債権執行です。
不動産執行は高額の予納金がかかり、動産執行は一般的な動産は換金価値が低いため回収につながらないといったデメリットがあります。
そのため、最も多くとられる手法は債権執行です。
【参考】債権回収業務について
強制執行を行う際の流れと注意点
強制執行の流れ
全体的な流れは、交渉→仮差押え→裁判等により債務名義取得→強制執行、となるケースが多いです。
仮差押えを行わないこともあります。また、強制執行を行う際は、どの資産をターゲットにするのか、調査・選別する必要があります。
これが甘いと強制執行をかけても空ぶりになんら回収できずに終わってしまうおそれがあります。
強制執行の手続自体は、管轄の裁判所へ申立書等の必要書類を債務名義と共に提出して行います。
申立てが認められ裁判所から差押命令が出ると強制執行が行われ、競売や第三債務者からの弁済により債権を回収します。
不動産執行の場合、申立て後に対象不動産の売却価格を算出するための調査が行われます。
【参考】ご相談の流れ
強制執行を行う際の注意点
注意点① 債務者の資産を調査する
どの資産をターゲットにすれば回収見込みが高いのか、そもそも資産があるのか、債務者の資産状況を調査する必要があります。
価値の無い動産を差し押さえても費用倒れになりますし、そもそもどこにどの様な財産・債権があるのか分からなければ強制執行のしようもありません。
強制執行により債権が回収できるか否かは、債務者の資産調査にかかっていると言っても過言ではありません。場合によっては、裁判所において財産開示請求をすることも考えられます。
注意点② 他の債権者がいる場合は回収額が減少するおそれ
他にも債権者がいる場合、強制執行をかけても他の債権者にも配当されるため、資産の全額からの回収はできなくなります。
また、債務者の不動産に抵当権が設定されている場合など、優先する債権者がいる場合はそちらに優先的に弁済されてしますので、せっかく強制執行を申し立てても回収額が大幅に減少してしまうおそれもあります。
債務者の資産を調査すると同時に、他の債権者の有無も確認しましょう。
注意点③ 時間や費用がかかる
強制執行するためには、債務名義を取得し、申立書類や添付資料を用意する等の作業が必要です。
そして、法的手続ですから専門知識も求められますし、回収可能性を高めて実効的な強制執行を行うためには入念な調査と準備も必要になります。
また、強制執行の際には裁判所に申立費用を納めなくてはなりません。特に不動産執行の場合は、数十万円~数百万円の予納金が必要になりますので、費用面のコストも発生します。
債権回収に関するご相談は弁護士法人山本総合法律事務所へ
債権回収は、債務名義の取得、申立書や添付資料の準備といった手続きが必要です。
また、強制執行を効果的に行うためにも、債務者の資産状況や他の債権者の有無も調査しなければなりません。
むやみに強制執行をかけても、コストだけかかり何ら回収できずに終わってしまうおそれがあります。
回収可能性の高い効果的な強制執行を行うためには、専門家である弁護士のサポートを受けるとよいでしょう。
当事務所ではこれまで債権回収に関する数多くのご相談を受け、強制執行を用いて迅速かつ効果的な債権回収を実現してきました。
また、平時においての契約書作成や情報収集など、強制執行の前段階からのサポートも手厚く行っております。
当事務所のたしかな経験とノウハウを持つ専門の弁護士がご相談をお受けしますので、まずはお気軽にお問合せください。
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この記事を書いた人
山本 哲也
弁護士法人 山本総合法律事務所の代表弁護士。群馬県高崎市出身。
早稲田大学法学部卒業後、一般企業に就職するも法曹界を目指すため脱サラして弁護士に。
「地元の総合病院としての法律事務所」を目指し、個人向けのリーガルサービスだけでなく県内の企業の利益最大化に向けたリーガルサポートの提供を行っている。